いろいろな成形方法
成形方法には、いろいろなやり方があります。ここでは、基本的な方法である、玉づくり、紐づくり、タタラ造りの3つのやり方を紹介します。
玉づくり
玉づくりは、とっても簡単です。それでは、順を追って説明していきましょう。写真の土は、100gです。焼きあがると10%~15%ほど小さくなるので、それを考えて作りましょう。
ここでは、手ろくろを使わず、葉を使います。このほうが、器の裏に葉の模様が入ってとてもよい出来上がりになるからです。まず、菊練りを終えた、土をいくらか取ります。ここで、はかりを使って、土の量を測っておけば、だいたい同じ大きさの作品が作りやすいです。
土を丸く団子状にします。それから、葉の上において、親指で、真中を押しあけます。気をつけることは、縁の部分が均等の厚さになるように穴をあけなければなりません。そうしないと、あとから、形作る時、土を伸ばしていくのが難しくなってきます。
あとは、上へ伸ばしていくだけです。薄くなったり厚くなったりしないよう気をつけてください。また、広がりすぎた時は、両手で添えた親指同士の間の土を詰めていくような感じで、広がりをおさえていきます。
全体的に、形を整えて、だいたい出来上がりです。裏にして、高台をつけるか、もしくは、この場合、せっかく葉脈の模様が出ていますので、角を指で整えました。高台をつけるときは、あらかじめ、高台部分を厚く作っておかなくてはなりません。高台を作る時は、少し乾いてから削ると良いでしょう。
紐づくり
手びねりといえば、紐づくりというくらい、よく知られている方法です。紐づくりでは、ある程度大きいものも作ることが出来ます。写真の土は、200gです。
菊練りを終えた土を、大体、作りたい器の大きさの底の部分にあわせて取り、それを、手ろくろの真ん中に置き、チョップをするように伸ばします。このとき、高台を作りたいときは、後で、削る部分を考えて、少し高めにしておきましょう。
次に、紐状に伸ばした土を、土台の縁の部分に、あわせて乗せていきます。土を馴染ませるように、指を使って、接着部分を延ばしていきます。
2段目からは、なるべく、内側に付けていきます。接着部分が広くなって、外れにくくするためです。同じように、紐を積み重ねていきます。ある程度、器の厚さを整えながら積んでいくと良いでしょう。
積み終わったら、全体の厚さや、形を整えて完成です。飲み口の部分は、きれいに整えておくと出来上がって使うときに肌触りが悪いなんてことが防げます。高台は、少し乾燥してから削りましょう。
タタラ作り
タタラ作りは、平たいお皿などを作るのに、良い方法です。一度に4、5枚のそろったお皿が簡単に出来ます。
それでは、順を追って説明していきます。まず、菊練りを終えた、土を、作りたい器の形のかたまりにします。ここで、大体の形を決めてしまいましょう。
今回は四角いお皿を作るため四角柱の形にしました。次に、タタラ板をそえ、順にワイヤーの切り糸で、切っていきます。ただそれだけです。簡単ですね。注意することは、ワイヤー切り糸は、しっかりとタタラ板に押し当ていなくてはなりません。ずれるとせっかくのお皿も台無しです。
切り取った土は、端の部分を起こしていきます。このとき、ワイヤー切り糸で鋭利なった切りあと部分も指で整えてください。裏の部分を忘れずに。
最後に乾燥させて出来上がりです。
その他いろいろな作り方
陶芸の作り方には、いろいろな方法があります。その中の一つ、ろくろでの成形は、皆、あこがれますよね。特に、簡単にろくろ成形で器を作っているのを見ると、自分もあんな風に作りたいなぁ、なんて思います。
何年か前、唐津焼の窯元めぐりに出かけたとき、まだ、陶芸を始めて間もない頃でした。ある、窯元に入ったときのことです。たくさんのろくろでの成形された作品の中、不ぞろいではあるけど、とっても引き付けられる作品が並んであるコーナーがありました。
対応してくれた、おじいさん(なんていったら失礼ですが)の話で、今は、その方の息子さんが、窯を継いでいるらしく、ろくろで作られた作品は、息子さんのものだそうです。そして、手びねりで作っている作品のコーナーは、そのおじいさんが作った作品だそうです。
そのおじじいさんは、ろくろを使わない理由に、「ろくろを使うと、同じ物しか作れん」とそういわれました。私は、心の中で、ろくろで同じ物を作ることが簡単なんて思えないなぁ、と思いながら、手びねりで作られた作品を見直しました。そこには、同じような形のものはあるのに、決して2つと同じ物はない、手びねりの良さがあったのです。
ろくろを極めた方の言葉だと思いますが、ろくろには、ろくろの良さがあり、手びねりには、手びねりの良さがあるのです。家には、電動ろくろがないため、手びねりでしか作品を作ることが出来ません。しかし私はそれでいいと思っています。
たくさんの色んな作り方で、ろくろに負けないくらいの作品を作ってやろうと思うからです。
(決して、電動ろくろが高くて買えないという言い訳ではありません)