陶芸に使われる土について
陶芸で使われる土は、色々な種類があります。焼きあがると白くなるものや茶色に焼きあがるもの。また、砂っぽいものから、そうでない物と・・。
特徴ある粘土たち
土(粘土)には、産地と言うものがあります。たとえば、何とか焼の土とか、どこどこ産の土など。
土に産地があるのは当たり前ですね。昔、陶芸が盛んに行われるようになって、その土地で取れる、陶芸に向いた土が、採掘されるようになりました。粘土であれば何でも焼き物に適しているかと言うとそうではないからです。
ある土地では、少し砂っぽい土が取れ、あるところでは、鉄分を多く含んだ土が取れました。今のように、流通が整ってない時代の話です。だからこそ、良い土が取れる土地に、窯元が多く集まり、伝統が守られてきたのでしょう。
しかし、今は、流通が整い、インターネットが普及し、いつでも、どこでも、いろんな種類の土が、買えるようになりました。私たちのような、陶芸を趣味にしている者にとって、とっても良い時代です。こういう環境だからこそ、いろんな土を使い楽しむ陶芸をすることが出来るのです。
土と産地
有名な土の産地は、死ぬほどあるので、代表的なものだけ、紹介したします。
信楽土
滋賀県、信楽地方で取れる土で、とても扱いやすい土です。非常に良く伸び、形作るときに扱いやすくなっています。よく入門用として用いられる事が多いようで、初めて購入するなら、信楽でしょう。私も持っています。
また信楽焼の特長として、穴窯を使う昔ながらの方法で焼かれることが多いです。特に灰釉をかけて焼く信楽は素晴らしい模様です。
信楽赤
土この信楽赤土も信楽産です。焼き上がりが、こげ茶色になります。また、大変硬く焼きあがるので、昔から、すり鉢や保存容器などが作られてきました。この土は、七輪陶芸向きです。
古信楽土
釉薬は使わずに、自然な土色や自然釉を楽しめます。また、今は、長石やケイ石などを信楽土に混ぜて、むかし風に作ったものが売られたりもしています。ざらつきがある、焼き上がりが特徴です。
萩土
肌色の柔らかい感じに焼きあがる萩焼は、昔から、茶器として使われてきました。また、吸水性があるため、長年使っていると、お茶やお酒が器にしみ込んで、器の色彩が変わり、「茶馴れ」といって珍重されています。
焼成温度が1200~1250℃と低いため、七輪陶芸では、温度調整をしなければ、本来の萩焼の良さは、出ないでしょう。
唐津土
佐賀県、松浦郡などで取れる土で、焼くと赤みを帯びた茶色になるのが特徴です。また、土は砂っぽくざらついた肌質で素朴な焼き上がりになり、昔から、茶器として使われています。
備前土
岡山県、備前で取れる土で、非常にきめが細かい特徴をもちます。鉄分を多く含むため、焼き上がりは、暗い茶色になります。田土から作られる備前土は、珪酸分が多く含まれており、焼くと硬く焼き締まる事も特徴の1つです。また、その分収縮率が大きいため、釉薬がのらない焼き物で、無釉焼締としても有名です。
備前土は、そのきめ細かさにも分かるように、急激な温度変化に弱く、特に七輪陶芸では、温度上昇と冷却には、気を使うことが大切でしょう。吉田明氏著書『すべてができる七輪陶芸―やきものをつくる』では、備前土での焼成が紹介されています。
道具土
その名の通り、陶芸で使う道具類、とちや七輪のさななどを作る土として使います。また、七輪は、何度も、焼成していると、内側部分が解けてきます、そういう七輪の補修に使ったりもします。窯の補修にもよく使われるそうです。
また、成形用土に混ぜる事によって、割れにくい土を作ることも出来ます。その他、そのまま使うことも出来ます。ざらついた肌触りの器が出来ます。『七輪陶芸入門』では、この道具土を使って、自作の七輪を作る方法が紹介されています。
土の購入
たとえば、近くに、山があるのであれば、その山に土を採りに行くことも出来るでしょう。しかし、その粘土を、陶芸用にするためには、とっても、大変です。ごみや、石を取り除いたりと色々とやらなくてはなりませんし、その土が、陶芸に使えるとも限りません。カタログ(陶芸用粘土)では、安くて使いやすい土を紹介しています。
最近では、陶芸の道具から土はもちろん、電気窯やガス窯まで何でもインターネットで買うことが出来ます。インターネットショップで買えば、どこの土だろうと簡単に手に入れることが出来るし、商品が豊富に取り揃えてあります。カタログ(成形道具)、カタログ(陶芸窯、その他の機器)を参考にするとよいと思います。